2020年12月6日に赤穂海浜公園で行われました,第29回赤穂義士マラソン(フルマラソン)のレポートです。フルマラソンの大会参加は昨年12月の加古川マラソン以来でおおよそ1年ぶり。コロナ禍で2月から7月までのレースが全部なくなりましたが,ようやくフルマラソンを走ることができました。悲願。
レース運営も第29回,元々周回コースの大会なので,その辺りのしきり,エイドも含めて最高の大会でした。参加者に寄り添った運営を本当にありがとうございました。
コース特徴
難所という難所はありませんでした。強いて挙げるなら↑上の地図 青空広場に入るほぼ360°カーブするところ。そのあたりでしょうか。しかし,折り返しだと思えば特に苦ではありませんでした。
高低図はリンクにはありませんが,概ねフラットで少し上っているかな?下っているかな?というのを感じる程度でした。
給水は2箇所(+私設エイドが1箇所)でした。5kmの周回コースであれば十分すぎる対応でした。水とスポーツドリンクだけでなく,給食でバナナや感染対策で袋入りのお菓子やエネルギージェルがありました。給食については,後から気がついたんですけどね...
レース前
前日朝:パン・グリーンサラダ・牛乳
前日昼:ご飯・唐揚げ・ポテトサラダ・味噌汁・グリーンサラダ (外食)
→ 夜にカルボナーラを食べるのが,ここ最近のルーティンになりつつあります。
炭水化物は意識的に普段より多めに食べる程度に留めました。
前日はいつもと同じように寝ようと無意識を心がけましたが,緊張で4時間ほどしか眠れませんでした。
当日朝(レース5時間前):パン,オレンジジュース,プロテイン(ザバス・エンデュランス )入り牛乳,ブラックコーヒー
直前(1時間〜30分前):Maurten(Drink Mix 320)・速攻元気(meiji)・amino vital(Super Sports)
初めてモルテンを飲んで走りましたが,前半の快走はモルテンのパワーもあったのかな。
装備
- シューズ(HOKA ONE ONE RocketX)
- コンプレッションタイツ(2XU)
- 上ウェア(2XU)
- カーフ(CW-X)
- キャップ(FEELCAP)
- ソックス(Functionalfit)
- サングラス(メーカー不明)
- Mag-on (20km/30kmで摂取)
- Shotz (38kmで摂取)
- 芍薬甘草湯 (攣る前に摂取)
HOKA ONE ONEを用いた理由は,個人的にNIKE Vaporfly Next%が合わなかったこと,クッション性が自分好みで,接地にも安定感があり,かつ推進力も十分であったことが挙げられます。今回ソックスとの相性もありますが,足裏に血豆ができることもありませんでした。
価格帯も昨今のエリートシューズで見るとMETARACER(asics)より少し高いくらいで,Vaporfly Next%やadios Pro(adidas)よりも安く買えます。非常にお勧めできるシューズだと思います。
天候
スタート時(10:00)の天候は晴れ。気温は6℃で少し肌寒いと感じましたが,気温上昇を考えると絶好のマラソン日和だったと思います。風は多少はありましたが,近走2戦が暴風雨・木枯しだったことを考慮に入れれば,ほぼ支障のない,まさに言い訳ができない条件だったかと思います。
レース
目標は,2時間50分から2時間55分でしたが,キロ4で集団を形成できそうであれば,そこに乗ろうと思っていました。それくらいのペースの人がいなければ序盤は4'05前後で押していき,後半粘る体で考えていました。
体調は良かったのですが,右脚にシンスプリントを抱えており,テーピングをした状態で走りました。1kmほどアップして微妙な違和感をおぼえながらのスタートでした。
● スタートから5km
20'12 (4'03-4'02-4'03-4'04-4'00)
整列は大体4列目くらいです。大会の規模としてフルマラソンは全体で200人くらい,その中で3ブロックに分かれての整列でした。前年の優勝タイムが2時間53分くらいということで,序盤からかなり前の方で走ることになるかなと思っていましたが,実際は全然違いました。
前があっという間に10人ほどいなくなってしまいました。
後から結果を見ると,優勝の方のタイムは2時間34分台。今年は特別でした。先にゴールした方何人かとお話をしましたが,ある方は去年この大会のハーフマラソンを使ってから,2週間後の防府讀賣マラソンに出場しましたとおっしゃっていました。今年は制限が厳しいですので,レースがない中で,猛者が集結した形となったわけですね。
さて,実際のレースの方は,一瞬で前についていけなくなったので,我に返り,落ち着いて同じペースの人を探しました。そこで3, 4人の小集団を形成することができました。ペースも4'05/kmより少し速い程度のほぼ狙い通りの展開。右脚の違和感はレースマジックの影響か何も感じませんでした。
● 5km〜10km
20'17 (4'04-4'02-4'05-4'04-4'02)
この区間は4人ほどの方と阿吽の呼吸で先頭を交代しながら,同じペースで刻むことができました。呼吸的にも楽でしたし,今日は行けるぞという感覚がありました。
この周回コースではすれ違い区間が何箇所かあるため,同じ練習会に参加している方やTwitterのフォロワー(R)さんとエール交換ができて元気が出ました。
このあたりは快調で給水もパスしました。
● 10〜15km
20'14 (4'05-4'02-4'04-4'01-4'02)
12kmくらいで初めての給水。大体13kmくらいのところ(2.195km + 2周が終わったあたりのところ)で小集団は崩壊し,前に行く方と脱落する方と分かれました。前を追っても良かったのですが,前に行った方は4分を切るくらいで走っていたこと,自分自身は非常に良いリズムで刻めていたこともあり,ペースは落とさず,単独で走ることにしました。この区間もエール交換をする余裕がありました。
● 15km〜20km
20'08 (4'01-4'02-4'02-4'01-4'02)
フルマラソンの時,15kmからハーフまでのあたり,この区間は非常に楽なのです。毎回そう。ですので,ここで気をつけていたことは絶対に調子に乗らないこと。いずれしんどい時間が訪れるので,楽なペースで走ることを意識していました。
道中,フォロワーさんに追いつき,走りながらご挨拶(笑)
● 20km〜25km
20'05 (4'00-4'00-4'02-4'01-4'02)
ハーフの通過が,丁度1時間25分*1で,非常に余裕があったので,過去の感覚からして,大きなトラブルがなければサブ3はこの時点で達成できると確信。この調子で押していけば,サブ55も楽勝では?と思っていました。この時は...
この区間はほぼ単独かなと思って淡々と刻んでいましたが,風よけにされているなというのがわかりました。ちなみに,後ろは一切振り向いていないのですが,後ろにつかれているのはすぐにわかりました。なぜならその方の履いてらしたシューズがNIKEのAlphafly Next%だったからです。とにかく,「バフバフ」はっきりわかる音なんですね。気持ちよく走っていたのですが,...バフバフバフバフ,集中したかったのですが,微かな音でも敏感になっていた自分は集中を削がれるような感じでした*2。
● 25km〜30km
20'34 (4'01-4'04-4'06-4'11-4'12)
音が気になったので,気持ち少しだけ上げたのですが,それが良くなかったのかもしれません。良いリズムで刻めていましたが
ヤツは26kmが過ぎて,27kmほどのところでやってきました。
左脚の脹脛にヒクヒクっという痙攣が...
ここまで順調にきていたので,「やばい!」と思い,咄嗟に持っていた芍薬甘草湯を摂取しました。
ところが,摂取して落ち着こうと思った矢先,アー!と言わざるをえない痛みが走ってしまい,完全に攣ってしまいました。
こうなってしまったら仕方がありません。しかし止まってしまうともうペースを上げられなくなってしまうと思いました。とりあえず我慢して,何とか走ります。とにかく痛い。とにかく前に進むことだけを考えました。
幸いこの痛みはすぐに収まったのですが,また攣るかもしれないという恐怖で身体が力んでしまいました。どうすれば良いのか,その正解がわからなかったのですが,どうすれば良かったんでしょうか。今後の課題です。
攣った時は後15kmあるのか...と途方にくれていましたが,そこでの応援は本当にありがたかったです。
● 30km〜35km
21'39 (4'12-4'18-4'24-4'23-4'22)
「神は乗り越えられない試練は与えない」と精神論を頭に思い浮かべながら,攣りの恐怖と戦っていました。手元に芍薬甘草湯はもう残っていませんでしたが,1kmに1回ほど「ヒクっ」という感覚が襲いかかってきます。こうなると,ペースを上げようものなら,私のマラソンは終わるな...と感じまして,減速しても良いと割り切って走ることにしました。
30kmの通過が,2時間1分30秒でしたので,4'30まで落ちてもサブ3は余裕で達成できると思い,ここで気持ち的には少しだけ楽になりました。この時は以下の戦略を頭に思い浮かべていました。
自分的サブスリー必勝法
— わんこラン@1/10ハイテクハーフAM (@karakuchiwanko) 2020年9月14日
練習で4分10×30㎞=2時間5分(余力アリ)
本番は2時間5分で30㎞通過
→「残り4分30で行けばサブスリー保険」に加入
→ヤバくなったら躊躇なく4分30にペースダウン
ラストは頑張らない、スパート厳禁
徹底して安全走行
打算的ではあるが、
2:58くらいでサブスリー出来ます😅
Special thanks: わんこラン氏
走っている時は,頭の中で計算ができなくなるのですが,この目安が頭の中にあって,少しだけ気持ちが楽になりました。脚は全く楽になっていないんですけどね。
● 35km〜40km
22'24 (4'24-4'29-4'28-4'32-4'31)
状況は悪くなる一方で,再度攣りそうな感覚が500mに1回くらい襲ってきます。今考えたら気持ちの問題だったのかもしれませんが,恐怖でしかありませんでした。後続のランナーさんにも次々抜かれるような状況でした。
呼吸は全く上がっていない,太腿も余裕がある,なのに上げられない。
今までに経験したことのないパターンだったので,悔しい気持ちがこみ上げていました。あとはとにかく,4'30までに抑えて,何とか走りきろうという執念でした。
● 40km〜ゴール
11'00 (4'33-4'34-1'53)
40kmの通過が2時間45分34秒。ここであることを考えていました。それは,Twitterのフォロワーさんとのちょっとした約束で,サブ3を達成することは当然として,懇意にしているフォロワー(H)さんの自己ベストを抜くことでした。その記録が2時間57分台。通過時間を考えると,このままトラブルなくいけば,何とか達成できるが,再度攣ってしまったら危ないかもしれない。そんな想いがありました。
この時,一種のドラマみたいですが,ヒクつく頻度はさらに増し,「お願いだから攣らないで」と念じるしかありませんでした。ラストはGPS上は42.195kmよりも走ることになるだろうとは思いつつ,周回コースなので,ラスト300mほどゴールまでの見立てができ,何とか2時間57分も切れることを確信しました。
ラストは何とか,4'30を少し超える程度で抑えましたが,15kmの間,ずっと神経張り詰めていたので,本当こういうマラソンは二度と経験したくないですね。笑
なお,余談ですが,
ゴールした後,左脚攣るだろうなと慎重に歩いていたのですが,
なぜか,全く気配のなかった,左脇腹が攣って悶絶しました。
なんでやねん!
結果
Garminの記録では2°56'35となっていますが,正式記録は2°56'34で去年12月の加古川マラソンの自己ベストを10分近く更新することができました。ただし,自己採点としては50点でしてトラブルがなければ,あと5分くらい更新できていたのではないかと分析しています。
なお,今回はネットタイムではなく,非公認記録ではありますがグロスでの記録です。と言ってもタイムロスは1,2秒といったところですが...
内省
今回の悪かったところ
- 攣ってしまったこと 以上
芍薬甘草湯を準備して飲みましたが,それだけではダメだったということですね。
後思い当たるところと言えば,発汗が結構あったので,給水で水をかぶるというのがありましたが,脚にかかった覚えはないものの,そうした冷えの可能性もあるのかもしれません。
緊張なんかも影響があったのかもしれませんが,事前と事中の水分の取り方,当日の対策,意識を持って準備をしたいです。
今回の良かったところ
- 心が折れなかったこと
- 攣るまでのペース配分
- 本番を迎えるまでの計画性
1. 心折れずに頑張れたのは,当日応援してくださった方や練習会の仲間,そして,一緒に走ったTwitterのRさんや日頃から切磋琢磨してくださるフォロワーの皆さんのおかげだと思っています。Twitterやってて良かったなぁと改めて思いました。
本当にありがとうございました。そして,これからも成長し続けましょう!
2. ペース配分については,気持ちよく走れていたので,次もこの感覚が出せるように,当日だけではなく,事前のテーパリングもそれなりにうまくいっていたので,その感覚を再現できるように,今後経験を重ねていきたいと思います。
3. 計画性については,ブログやTwitterを通じて振り返りを書き続けてきました。そうした一つ一つの積み重ねにより,次何をすれば良いか,そうした計画がクリアになり,怪我はありましたが順調に練習を積み上げることができました。また,今回はサブ3を達成しましたが,計画としてサブエガ(サブ250)を達成するつもりで強度を設定し,練習をしてきました。「大は小を兼ねる」といった発想です。次はサブエガ(2時間50分切り)に向けて精進します。
サブ3を達成しましたが,これで私の記録は終わりではありません。むしろクラシックの交響曲で言うと,第1楽章が終わったといったところです。そうです。サブ3達成までを第1楽章と考えていました。
これから第2, 第3, 第4と紡いでいきますし,もしかしたら第5楽章あたりまであるかもしれません。逆にシューベルトの交響曲「未完成」のように未完になる可能性もあります...笑。これからも発信し続けますので,よろしければ,引き続き読んでいただければ幸いです。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました!